イタリア革の長財布「メリットとデメリット」

イタリア革の長財布「メリットとデメリット」

「イタリア革の長財布」どうしてイタリア革と付くだけで良いイメージになるのでしょうか。
日本製といえば堅実性・安心安全のメイドインジャパンと信頼感のあるイメージですが、イタリア製といえばおしゃれ・色鮮やかな、そして食でいえばイタリア産はおいしそうなイメージです。

ドイツ製・フランス製なども含めてお国ごとのイメージがあるのはおもしろいですね。逆に何もイメージがない国があったりするとそれはそれでお気の毒な気がしますが。とにかくイタリア製は衣・食では間違いなく良いイメージですね。

イタリア革を語る上で革の歴史を紐解くと、動物の皮はそのままにしていると硬くなったり腐ったりしてしまいます。変化しやすい「皮」を長持ちする「革」に生まれ変わらせる技術が必要だったのです。そこで染色のために草木の汁に漬けた皮が腐らないことから発見された「植物タンニンなめし」など、様々ななめし技術が開発されてきました。

イタリア革長財布のメリットを検証

イタリアは世界に名立たるローマ帝国の末裔で植物タンニンなめしの発展はローマ帝国の時代ではないかといわれています。日本でもそうですが、その国を支配している支配者の時代が裕福で平和なら文化の花が咲きます。それが長く続くと支配者や裕福な人へ気に入られるものを作るために生産するクオリティも上がります。

現在のイタリア革の「植物タンニンなめし」はトスカーナ産のなめし革で支えられています。
イタリア植物タンニンなめし革協会(PELLE CONCIATA AL VEGETALE IN TOSCANA)に加盟する、タンナーと呼ばれる23の中小の事業所が生産しています。タンナーは伝統的な手法を守り、化学物質を一切使わず、植物から抽出される渋成分「タンニン」でなめすという天然加工法を用いています。今、日本でのイタリア産なめし革の人気は急上昇中で長財布にも多く使われています。

伝統のバケッタ製法。そこから作られる革とは?

トスカーナ産のなめし革の多くは古代からのバケッタ製法というタンニング(革のなめし方法)を用いています。バケッタ製法は植物性のタンニン剤のみで時間をかけてじっくりとなめされた製法です。漬け込むということから衣類の藍染や柿渋染めのようなもので、ただひたすら時間をかけてじっくりと漬け込むのです。

そこで得るものは防腐効果と繊維密度が壊されないことです。時間と効率を上げるために薬品を入れると繊維密度は壊されます。繊維密度が壊されないということは実はとても重要なことで、その後の工程の色入れやオイル入れが革に浸透しないなどの弊害を引き起こします。繊維密度が高いヌメ革は発色の美しさとオイルが浸透しているために光沢感が自慢の革でハリも強いのが特徴のひとつです。

トスカーナが誇る二大ブランド革とは?

革が好きな人なら知っているイタリア革の代表格といえば、ブッテーロとミネルバリスシオです。どちらとも先ほどのバケッタ製法を用いています。美しい色合いと光沢感が世界中の革好きを唸らせます。

バケッタ製法という作り方は同じでも各タンナーごとにレシピとよばれる工程が違います。
本当に料理のレシピと同じように最初にこれを入れて、次はこれ、何分置いてから最後にこれを入れるなど。時間と手間をかけたおいしい料理が完成していきます。このレシピがタンナーの宝で手順を追って完成した革こそが自慢の商品になります。

ブッテーロとミネルバリスシオも独自のレシピで編み出された技術の結晶でオイルレザーといわれる使うごとに中のオイルが溶け出して光沢感が包んでいく革です。

オイルレザーは艶があって光沢感を楽しむ革

オイルレザーは植物タンニンなめしでなめされた革にこそ有効な美技術です。繊維密度が高い革の内部にたっぷりとオイルを塗りこんでゆく製法です。

一度浸透するとオイルが抜けず、ほぼ永久に潤いがあって艶がある革質を楽しむことができ、オイル入れなどのメンテナンスを必要とせず、 本格的なタンニン革の長財布が初めての方でも楽しんでいただけます。

最高級オイルレザーがもたらすエイジング

オイルレザーの楽しみのひとつに使えば使うほどにエイジング効果を楽しめるというのがあります。エイジングとは経年効果のことで使えばつかうごとに中のオイルが溶け出し革に馴染んでいき、光沢感が長財布を包んでいきます。

普通の革は使い始めが最高の状態ですが、オイルレザーは使うごとに色艶が増し、すばらしい風合いに変化していきます。革の繊維もほどけていき最初の頃はハリがあって硬く感じられたものが、やわらかく手に馴染んでいくのが楽しめる革です。

イタリア革のデメリットを検証

ここまでイタリア革のメリットを散々語った後でデメリットを語るのは気が引けるのですが、実際にオイルレザーの一番気にかかる点、皆さんの一番気にされている点について考えていきたいと思います。

オイルレザーの一番気にかかる点とは滑らかで美しい革質から「キズ」が一番気になるところです。長財布では値段も高いので気になるところです。

ですがそれはデメリットとは感じません。それがデメリットならイタリア革がこれほど世界で人気がある訳はありません。なぜならキズは溶け出したオイルがカバーしてくれるからです。

最初の頃は誰でもキズがつくとショックで気になるとは思いますが、オイルのコーティング効果と使うごとに味が出てくるので気にならなくなってきます。それがオイルレザーの良さで長く愛用するために作られた革なのです。

特にデメリットが見当たらないのがさすがと思わせるイタリア革で、14世紀からルネッサンスが花開いたフィレンツェの歴史を感じながら長財布を楽しむというのは、男性の贅沢ではないでしょうか。