大手百貨店、販売のプロに聞いた!長財布を見極めるポイント(4)端の仕上げ方を見る!

大手百貨店、販売のプロに聞いた!長財布を見極めるポイント(4)端の仕上げ方

参照:上の写真、端の処理が美し財布はこちら

【本当に高品質な長財布はココでわかる】 VOL4(革職人のコバ磨き)

革の長財布を見極めるポイントはどこ?
大手百貨店の革小物担当の方とお話しを伺った時の意見をもとに、販売のプロはどこを見ているか?!、おススメする理由は?など一目でわかるポイントをご紹介。

 

長財布や革小物などの端の仕上げ方法。
革を裁断する際に切ったままですとぼそぼそとしてくるので何らかの方法で処理をしなくてはいけません。
革の端を「包む」製法をヘリ返しといい、「磨く」製法をコバ磨きもしくは切り目といいます。
どちらが優れているというわけではなく、どちらも革職人の腕が試される仕上げの方法なのです。この部分が時間のかかる作業で革職人の腕が試される部分でもあります。

ヘリ返しにするかコバ磨き(切り目)にするかは、使用する革や商品イメージに合うかどうかで決まってきます。
たかが端っこの処理ですが、どちらにするかで商品自体の印象が大きく違ってきます。

それでは革職人の世界を垣間見ていきましょう。

見極めポイント<4> 端の仕上げ方

ヘリ返しとは?

その言葉通りへりを返している仕上げのことです。
長財布や革小物の革と革が合わさる部分、外側の革を長めに残して、その部分を均等した幅で折り返し、包み込むように仕上げています。
このヘリ返しは革の角の部分を上手にまとめ、包み込む技術が必要になってきます。

へり返しの角の部分の処理は「菊寄せ」と呼ばれ革職人熟練の技です。
内側に余る分の革を順番に目打ちを使って折り曲げていき、シワを均等に分配してその上をミシンで縫っていくことで、その名の通り菊の花のようにキレイな仕上がりとなります。
とても細かい上に正確さを求められる技術です。

出来上がった時に綺麗に革が包まれていないとぼってりとした感じになり、被せる側の革を薄く剥いだり、熱コテを当てて被せた革の縁をつぶしたりと各社工夫を凝らしている部分でもあります。
大きな製造メーカーでも最も腕のある革職人が請け負う工程であり技の見せ所といえるでしょう。

ヘリ返しの製法はミシン独自の製法であり、手縫いではほとんど用いられません。
クローム革とタンニン革両方の革で使える製法であり、財布や革小物などの場合はコバ磨きより多い割合で用いられています。

コバ磨き(切り目)とは?

主にタンニンなめし革のみに使われる技法。こちらもその名の通りコバ(端)を磨いて綺麗にしていく技法です。
まず、革の端部分を荒いヤスリからどんどん細かいヤスリに替えて磨いていき、断面を出来る限りまっすぐ平らに仕上げた後、蜜蝋や着色の塗料を塗って、乾かし、塗って、乾かす、を繰り返して美しいコバを仕上げていく手法になります。

革の繊維の間に蜜蝋や着色の塗料が入りこみ、硬く固まるので、貼り合わせた部分が割れて拡がるということを防いでくれます。
この塗っては乾かすという繰り返しが非常に時間がかかる作業で美しいコバを仕上げていく手法です。

手間をかければかけた分だけ仕上がりの差となってでてくる部分なので、コバ磨きは革職人の腕が試される部分でもあります。

コバ磨き(切り目)はタンニン革もしくはコンビなめしの革に使える技法であり、革の断面が整っていないクロームなめしには主に使えない技法になります。
手縫いとミシン両方の縫製に用いられます。

▼次の記事へ
大手百貨店、販売のプロに聞いた!長財布を見極めるポイント(5)知っておきたい革職人のこだわり 大手百貨店、販売のプロに聞いた!長財布を見極めるポイント(5)知っておきたい革職人のこだわり