【本当に高品質な長財布はココでわかる】 VOL5(革職人のこだわり)
革の長財布を見極めるポイントはどこ?
大手百貨店の革小物担当の方とお話しを伺った時の意見をもとに、販売のプロはどこを見ているか?!、おススメする理由は?など一目でわかるポイントをご紹介。
見えない部分への作り手のこだわりを知っておく事で、コストパフォーマンスが高い長財布がどれががわかってきます。
見極めポイント<5> 知っておきたい革職人のこだわり
財布作りで一番大事なのは意外にも「裁断」
長財布の場合は、一枚の革でも最高の部位を使うのが鉄則。その革が生きた証として本来持っているキズやシミなどを避けるだけでなく、繊維の伸び方向もしっかり意識して裁たないと、財布の美観や耐久性を損ねてしまいます。裁断の良し悪しは素人ではわかりにくく難しい作業。
実は元々動物の皮だった革は加工されその姿を美しく保っていますが、キズやシミ、血管の跡、シワの跡などが無数にあります。
クロームレザーの場合は染料で染め上げた後、ニスや塗料などで吹き付け加工し美しく見せるように仕上げています。化粧と呼ばれる工程がそれです。
ですが天然なめしのみのナチュラルレザーであるタンニンレザーの場合は綺麗に隠すことが難しくそのまま残っていることが多いんです。
もちろん革一枚につき牛革なら一頭分、個体差がでることは明らかで一枚一枚状態が良いものと悪いものがあります。
せっかく高級な革を5枚仕入れたのに使えるのは実質4枚弱かなというのはよくあることです。その中で長財布は面積を大きく裁断しなくてはいけなく、一番いいところを使うというのが鉄則なのでいい革であればあるほど、長財布の価格も上がってくるという訳です。
耐久性に差が出る「返し縫い」
財布のカード段は複数のパーツを重ねて縫いつけるため、革職人の細かな技が垣間見られる箇所。
まずしっかりと縫製されているかわかりやすいポイントだと「返し縫い」がされているかという点です。
カード段は財布の中でも一番力を入れて出し入れする箇所なので耐久性が求められます。
そこで強度をつけるために長らく使ってもほころびが出ないようにと配慮がなされているか、細かい部分ですが、革職人の商品に対する愛情を感じ取られ、信用にも結び付きます。
「念入れ」をすることで強度と見た目が格段にアップ
革職人の中でも一番といえる程、細かい作業。念入れはその真骨頂。
この念入れをすることで強度と見た目が格段にアップします。
念入れは電気コテなどで熱を加えてゆっくりと革に線を引いていく作業です。
まず、強度でいえば革の端の部分に入れることが多く、革に熱を加えることにより、革が焼き閉まり強度も増してきます。
そして見た目はつるんとした端にするより念入れをしたほうが革製品としての引き締まり具合が全く違ってきてシャープな印象になります。
念入れをしているのとしていないのでは革製品としての高級感にも違いがでるのは明らかです。
それと念入れは天然なめしのみのでなめされたナチュラルレザーであるタンニンレザーしか入れることは困難です。
なぜなら熱を加えているので化学物質などが入っていると表面が溶けてきて見た目を損ないます。高級で上質なタンニンレザーのみに許された革職人の技法なのです。