当店ではほとんどの商品が他店では販売していないこだわりの革製品で、その多くが革職人と打ち合わせと試作を重ね誕生した完全オリジナル商品です。それぞれの革職人には当然得意分野が異なりそれを生かすための商品作りをしていきます。
「革職人が作るこだわりの革製品」というのが当店のコンセプトですので、それをふんだんに詰め込み使いやすさにも気を配った革商品に仕上げていかなければいけません。形状がほとんど決まった状態で必ずすることが試作品を実際に使ってみてどこか使いにくい点はないか。持ちにくくはないかなどを試してみます。
試作品を実際に使ってみる段階というのは、販売用商品の製作前の段階であり、すでにその前の何度かのサンプル製作で使いにくいと予測される点やサイズや厚みなどの点もクリアーしてきています。
その最終段階でメンズ商品の場合は大抵の場合、私が使ってみることが多いのですが、使ってみて本当に気に入り、販売した後にすぐに買ってしまった商品もあります。それが今回ご紹介するマネークリップ【CARVA】でLUTECEの革職人:高橋秀行氏の作品で彼の思いとこだわりがたっぷり詰め込まれています。実際に使ってみての感想を交えてお話したいと思います。
目次
用途を限定することでマネークリップの使いやすさは広がる
革製の財布タイプのマネークリップには大きく分けて二つの種類があります。
ひとつはコインケースなしのタイプで、もうひとつはコインケース付きのものです。
コインケースなしのマネークリップ
コインケースなしのマネークリップは用途としてカードとお札を入れる。つまりコインケースは別に持つというものです。
そうすることで財布として極めて薄く持つことが可能となり、さらに小銭の分の重みも回避できるためスーツやジャケットなどの上着の内ポケットに入れてもかさばらず、軽く快適に持つことができます。パンツの後ろポケットに入れて財布を持ち歩くいわゆる「尻ポケット派」の人と「内ポケット派」にも人気のタイプとなっています。
コインケース付きのマネークリップ
コインケース付きのマネークリップはお札とカード、小銭の3点と収容することが可能です。
LUTECEの:高橋秀行氏のマネークリップ【CARVA】も同様で収容できるものは二つ折り財布と同じとなります。ですが、二つ折りと同じように使うとことはおすすめできません。それはなぜかと言いますと…
薄くおしゃれに使うことをコンセプトにしたマネークリップだからです。
もっと言えば使いやすいマネークリップがよければ他のを購入してください。とまではっきり言えます。小銭入れがもっと大きくて使いやすく、カードももっとたくさん収容できるマネークリップは使い心地が良いものですが、その分多くのものを入れているので、入れれば入れるほど厚みは出てきてしまいます。
マネークリップ【CARVA】は最初から薄く持つように作られているため、わざと入らないように設計しています。使ってみて最初は小銭入れが小さいので入りにくいと思うかもしれませんが、それは財布自体が膨らんで見栄えが悪くならないように計算してのことで、すべては薄くおしゃれに使うということに重きを置いています。それが他のコインケース付きのマネークリップとは異なる点です。
さらにカード段にも入るからといって入れすぎてしまうと、同じように膨らんでしまいますので見栄えが悪くなります。お札とカード、小銭の3点をうまく使い分けることでスリムでおしゃれに持つことが可能となります。
マネークリップと二つ折り財布の異なる点は札入れ部分にあり
財布タイプのコインケース付きのマネークリップと二つ折り財布では用途と容量はほぼ同じであると先ほども述べましたが、一番違う点は札入れ部分にあります。
二つ折り財布はお札を収容する部分が一番外側にあるのが普通です。カード段やコインケース部分の後ろに別室として設けられている。いわゆる個室を与えられています。この個室が使いやすい訳ですが、逆に考えれば一枚の革で壁を作り、個室を設けることで厚みも増してきます。これが二つ折り財布が分厚くなる原因のひとつでもあります。
それに対して財布タイプのマネークリップは個室を与えられてはおらず、大抵はカード段の前に札バサミでお札を挟む設計になっています。こうすることにより財布全体の厚みを削り薄くスマートに持つことを実現しています。マネークリップのコンセプトは最初から「薄い」ということを一番に置いているのはお分かりいただけるかと思います。
薄い!わずか1,5cmでパンツにも響かないマネークリップ
私は10代の頃よりパンツの後ろポケットに財布を入れる「尻ポケット派」で、この仕事をするようになり色々な形状の財布を使うことが多く、スーツやジャケットなどの上着の内ポケットに長財布を入れたり、バッグに入れたりと試みてきましたが、やはり長年培った習慣というのは中々直らず後ろポケットに財布を入れています。「尻ポケット派」の共通の悩みというのが財布自体の厚みになり、お尻が膨らんで見えます。
近年はメンズファッションでもスリム化傾向になり、体にフィットしたスキニーパンツやスリムスーツなどが流行になってきています。このスリム化傾向が「尻ポケット派」には都合が悪く、余計にお尻の膨らみが目立ってきます。そこで「渡りに船」だったのが財布タイプのマネークリップで、長年の懸念を解消させてくれています。お札やカード、小銭をそこそこ入れても厚みはわずか1,5cmとスタイリッシュに持つことが可能となります。
スリムにおしゃれに持つにはそこそこ入れるがポイント
すべての作品には創作者の意図があり、LUTECEの革職人:高橋秀行氏のマネークリップ【CARVA】にもあります。それはもちろんスリムにおしゃれに持って欲しいということです。
それを実現するには使う人のちょっとした工夫も必要で、あまり多くのものを入れないというのが大切になってきます。これは難しいと思いがちですが慣れてくると意外に簡単なことで、それができれば変な話快感にもなってきます。最低限のものをうまく使いこなし、ものを増やさないというのは整理された後の部屋のように快適でもあります。
使い分けることがおしゃれ上級者
整理してもどうしても持ち歩くものが多いという人には、使い分けることをおすすめします。
カードが多ければパスケースに何枚か入れる、小銭をたくさん入れておきたいという場合には、小銭入れを別に持つということがスマートな方法です。
こだわりのあるパスケースや小銭入れを用途に合わせて使い分けているほうが、膨らんで整理されていない財布を持つより格好良く見えることは間違いないと思います。
まとめ
今回は私にとってもお気に入りの品、マネークリップ【CARVA】についてでしたので少々熱く語ってしまいましたが、この商品をLUTECEの革職人:高橋秀行氏と何度も話し合いと試作を重ねて完成したことを誇りに思っています。
【CARVA】はイタリア語でクルバと読み、英語のカーブ(曲がる、曲線)などと同じ意味です。【CARVA】の折り曲げる部分のカーブは、コバ部分(革の切れ端)の磨き加工によって形作られています。
この部分が革職人:高橋秀行氏の一番の技の見せところであり、時間を掛けて美しく磨き上げられたものです。一個作り上げるのに8時間もの時間が掛かるこだわりの品であることは、このカーブからも感じ取れます。スリムにスタイリッシュに持ってもらいたいというコンセプトにこのカーブは実によくマッチしています。
決められた器に準じてみる。慣れれば使いやすくなっていくというのが私の使ってみての感想で、スリムにスタイリッシュに持てて革職人のこだわりが感じられるマネークリップは【CARVA】をおいて他にはなさそうです。