ヌメ革最高級|メンズ革製品の有名どころ「5大ブランド革」を知ろう!

5大ブランド革

動物の皮から革へと加工する主な工程を「なめし」といい、革をなめす生産者のことを「タンナー」といいます。日本を含め世界中で愛用されている革製品ですが、革を作っているタンナー(革の生産者)は実はそれほど多くはありません。その中でも植物性のタンニンのみでなめしたフルベジタブルタンニンレザー(ヌメ革)となるとタンナーは希少です。

革の王様と呼ばれるフルベジタブルタンニンレザー(ヌメ革)は腐敗を防ぎ、やわらかく滑らかに使いやすくするために、薬品などは使わず植物性のタンニンなみでじっくりと長い時間をかけてなめされた天然素材の革です。そのヌメ革を染色し様々な色に染め上げ、オイルやワックスを入れて仕上げを施し製品化していきます。

天然素材のみを使ったヌメ革と薬品などを使ったクロームレザーは無農薬野菜と通常の野菜のようで、害虫や雑草を人の手で取り除き手間はかかるが、自然のままの状態で作られた無農薬野菜は価格は高くなりますが、生産者のこだわりの感じられる野菜です。

これに対しスーパーなどで売られている通常の野菜は、人の手がかかる部分を簡略し、機械を使い生産工程を上げて、より多くの野菜を作り価格を抑えて販売するというものです。

ヌメ革も同じでじっくりと時間をかけて生産されているために、どうしても革自体の価格が高くなりバッグや財布などの価格も高くなりますが、その分得られるものは…
タンナーのこだわりとエイジングを楽しむ

ということです。これは上質なヌメ革だけに訪れる「革を育てる」という楽しみで、このことからヌメ革は革の王様と呼ばれています。

それぞれの地域とタンナーごとに違うこだわりが上質を育む

日本を含め世界中で生産されているヌメ革ですが、それぞれの地域と各タンナーによってこだわりとそれによって得られる特徴は違ってきます。 ワインやウイスキーと同じように。

寒暖、湿度、山や海に育まれた水やその土地の人によって作る物の特徴は違ってきて、その地域に適したものを特産品と呼びます。その特産品は地元の産業を支え各生産者を育みます。
大きな機械化された工場から家族経営の人たちまで。その中では当然お互いのライバル意識があります。皆が技術力を高め、時には団結することによって、その土地の特産品は広く知られることになっていきます。

勝ち抜いてきた革だけがブランド革と呼ばれる

生産者は技術力を高め、それを販売していく力がないと生き残ってはいけません。
長年に渡って何代も受け継がれてきた生産者には、勝ち残っている理由があります。
それはもちろん
素晴らしい製品を作り続けていることです。

これは大変なことで、それが認められて初めてブランド化が成し得ます。
ヌメ革の場合も同じで、他社との競争に勝ち技術が認められたタンナーが作る革をブランド革といいます。

特徴の違うそれぞれのブランド革を知ればもっと楽しくなる

ワインやウイスキー、ブランド革も特産品の象徴のようなもので、共通するのはその土地の風土とそこに暮らす人がこだわりを持ち、知恵を絞って作り上げた技術の結晶であることです。

もちろんこだわりはヌメ革の特徴として表現されていて、それぞれの利点があります。 それを知っていき、好きな革を味わい尽くすというのが本当の楽しみかもしれません。

ここからは 5大ブランド革といわれるヌメ革の銘革の特徴を挙げてみました。
加工の仕方が違うのはタンナーの特徴で、料理のレシピのように順序立てがされていてそれに沿って丁寧に作られていきます。この培われたレシピこそがタンナーの特徴であり唯一無二のものになります。

【性質】というのは革の仕上げの工程で艶(ツヤ)を与える加工方法の分類です。

コードバン:【性質】オイルレザー、ロウ引きレザー

コードバンは農耕馬の臀部の部分だけを使い、繊維が非常に細かいのが特徴の馬革。
一頭の馬から一割しか取れない部位を使っていることから希少で高価。

きめ細かな繊維が特徴で滑らかでしっとりとした質感で、その女性的な質感とは逆に頑丈で破れにくく硬い革としての男性的な強靭さを持つ革です。

その硬い革の特徴を生かし、カチッとした男性物のバッグや財布などの革製品に使われることが多い革です。きめ細かく滑らかな繊維に磨き加工を経たのちにもたらす艶感は上品で、お手入れをすれば艶感は保たれていきます。この上品で見事な艶感が人気の革です。

日本製/国産のコードバンは兵庫県姫路市の新喜皮革がクオリティが高く、有名で世界的にも名高いタンナーです。

ブライドルレザー:【性質】ロウ引きレザー

ブライドルレザーはもともと馬具としてヨーロッパで生産された革で、落馬を防ぐ目的から強い耐久性を求められた革です。この革の特徴はなんといってもブルームと呼ばれる白い粉が革全体に施されていて、使っていくうちにそれが溶け出し革に見事な艶感を生み出していきます。
白い粉の正体は密蝋(ミツロウ)でそれを革全体にワックスのように塗りこんでいます。
ブライドルレザーはイギリスのタンナーで作られたものが有名で人気があります。

ブッテーロ:【性質】オイルレザー

ヨーロッパの中でもひときわ革の生産地として有名なのが、イタリアのトスカーナ州で有名な都市ではフィレンツェがあります。ここに根差した老舗のタンナー「ワルピエ社」が作り出す革の品種のひとつにブッテーロはあります。

成牛のショルダー(肩)部分を用いているため、革の厚みもしっかりとあり、ハリとコシの非常に強い革です。ブッテーロが世界的に有名なのはその鮮やかな色合いで、イタリアらしさあふれる強いトーンの革色です。

男らしくしっかりした硬めの革質に、女性のドレスのような鮮やかな色合いの革色が見事なギャップを生み出しています。鮮やかな色合いの革は使うごとに味わいを増し、中のオイルが溶け出すことで艶感をもたらしていくエイジングレザーへと経年変化していきます。

ミネルバリスシオ:【性質】オイルレザー

ブッテーロと同じくイタリアのトスカーナ州で作られた革で、古代のタンニンなめし製法(バケッタ製法)をイタリアの革職人バダラッシィが当時の文献を読み忠実に再現。時間と手間が大幅にかかってしまうため量を作れず、そのために希少。現在でも10世紀もの歴史を持つ昔ながらのバケット製法で作られている革です。

ミネルバリスシオの特徴は、イタリアの革特有の発色の美しさと牛脂が入ったオイルを使用している点です。通常ヌメ革に使用するオイルは植物か魚を原料としたものが多いのですが、牛脂だと一度浸透するとオイルが抜けず、ほぼ永久に潤いがあって艶がある極上のエイジングを楽しむことができます。

オイル入れなどのメンテナンスを必要とせず、本格的なタンニン革が初めての方でも楽しんでいただけます。ミネルバリスシオは革の密度が高く上質。それは床面をみるとその密度がわかります。「床」とは革の裏側、革の床面の繊維の細かさは良い革の証です。

革の本場イタリア熟練の革なめし職人から作り出された正に究極の革なのです。

栃木レザー:【性質】オイルレザー

数少なくなった日本のヌメ革タンナーにおいて圧倒的に名声を得ている国産の銘革。
革に少し詳しい方なら必ず知っている有名ブランド革で革職人にも幅広く使用されています。

フルベジタブル(植物性)タンニンのみを使用し、ピット槽で3週間以上もの時間をかけ、じっくりとなめされたヌメ革に、オイルをたっぷり染み込ませた栃木レザーこだわりの『オイルレザー』は上質なオイルレザー独特のエイジング(経年変化)を楽しませてくれます。

国産・日本製というだけあって日本人の好みに合った革色を作り出しているのも人気の理由でしょう。

「五大ブランド革」を使用した売れ筋の革製品

まとめ

今回はブランド革を文章で説明しましたが、「百聞は一見にしかず」ぜひ、ご自身の目で確かめられて体感されることをおすすめします。上質な革と共に楽しい革ライフを過ごされることを願っています。