革のメンズ長財布。安いものと高いものの差、ココが違うを解説!

安いものと高いものの差、ココが違うを解説!

物の値段は原材料費×加工賃に利益を入れて販売価格が決定します。
よく中卸業者を何社を挟むと価格が高くなるというのは、各社ごとに自分たちの利益を加算していっているからです。

でも消費者は1円でも安く、しかも良い物を買いたいという思いがあり、そこで販売価格の見直しが始まります。どのようにすれば価格が抑えられるか。それは…
どこかを削って販売価格を抑えるしかありません。

よく食品なら産地直送など生産業者が消費者に直送するというケースがあります。あれも最初に安く価格を設定しすぎると苦しくなります。具体的には、まず業者を挟まないということは自分たちで宣伝しないと誰にも見てもらいないので宣伝費が掛かったり、多く注文が来たときに人を雇わなければいけない、こんなに働いているのに利益が残らないということもありえますので、利益確保も大事になっていきます。

安くしすぎるとかなり多く販売数を増やさなければ売上げは上がりませんし、高くしすぎると一般の人が買える値段でなくなってくるので販売数は下がります。難しいところですね。。

革のメンズ長財布でも同じことで、安いものから高いものまでたくさん販売されている。
私たち販売する側から見たら、高くするほうが簡単なのです。思いっきり良い素材で思いっきり手をかけて製作すればいいだけのことですから。ものすごく価格は高くなりますが「果たして誰が買うの?」ってなりますよね。ですので高くするほうが簡単ではありますが、それはとても勇気がいることなんです。

それができるのがエルメスやグッチなどのハイブランドで、彼らは何年もの長い時間をかけてヒット作を出し続けてきたスーパースターであり究極の勝ち組なので、それがブランド化につながり、世界的認知度をもってしてそれが叶う特例枠なのです。

ですので簡単に言えば、「消費者が希望するであろう価格帯」と各社それぞれの「これくらいでブランドの位置づけはできるか」という点と「利益確保」の3点によって、長財布の販売価格は考慮されて決まっていきます。

下記は、私なりにメンズの長財布について「安いものと高いものの差、ココが違う」というのを考えてみました。ご参考までにお読みいただければ幸いです。

素材は嘘をつかないの意味とは?

「素材は嘘をつかない」という言葉は、プレタプルテやオートクチュールなど高級服などに使われるものですが、革のメンズ長財布ではどうでしょうか。

やはり当てはまります。素材の良し悪しというのは、時間と人の手をかけて作られているか否か。希少価値があるか否かなどです。革素材の場合は前者で、高級革はタンナー(革の作り手)が時間と人の手がかけられたこだわりの逸品です。ワインや日本酒でいえばその作り酒屋で一番上等な高級酒、木材を扱う会社であれば何年物の一番良いランクの木ということになります。

良い革はこだわりを持って作られていてすべては「長く愛用して欲しい」思いからです。
安価な革とはここが違い、最初の状態で綺麗に見せていて使うごとに劣化してくる。劣化の速度が早いというのが安価な革の特徴でもあり、良い革は使えば使うごとに味が出てきて色艶も増してくるという違いがあります。

ファスナーや留め具は毎日使うものなので。

ファスナーやボタン、ホック等の留め具は一番コストを削りやすい箇所でもあります。
ですが使う人にとっては毎日何回も使う箇所でもあります。こういうところにこそ、使いやすさを大事にすべきであると私は思います。

安価なメンズ長財布とこだわって作られているメンズ長財布とはこういうとことが違ってきます。ネット通販など実際に手に取れない販売だとわかりづらい部分ではありますが、自信がある部分やこだわりは商品ページに絶対に記載しているはず。そういうところも見ていただけたらうれしいですね。

作る工程を少なくする。生産ラインの調整

車や自転車、バッグに靴など生産されている物には必ず生産ラインを決める工程というのがあります。革のメンズ長財布でも同じことで、革をパーツごとに裁断して、切れ端を処理して、縫製をしてというふうに工程を決めていきます。簡単にいえば工程を少なくすることでコストダウンにつながります。1日10個作っていた長財布を工程を減らして12個作った、この1日2個が1ヶ月では60個、1年では実に720個の生産率アップになります。

生産率アップはコストダウンにもつながり販売価格のダウンにもつながります。気をつけなければいけないのは、うまくいくともっともっとというのが人間の心理で工程を少なくしすぎることで、商品の信頼度が危うくなります。近年では安い雇用賃金の海外で生産するという方法も広まっていますが、いずれにせよ良いものを安く作り続けられるかが鍵になってくると思います。

ディテールの装飾を削る

革にこだわったメンズ長財布には必ずと言っていいほど、ディテール(細部)に装飾(飾り)を加えています。革にこだわる生産者(革職人)は自らの持っている技術を入れたがるもので、それを加えると財布に贅沢さが加わります。

念入れや手縫い仕上げなどはその例で、高級メンズ長財布にはそういったものが搭載してあります。高級な住宅、高級な車などの内部にも装飾は施されていて静かに凛として主張しています。

価格を安く抑えようとすればどうしてもこういった部分にコストをかけることができず、削るほかありません。

表だけブランド革、中は別の革

これはメンズ長財布とレディースの長財布の両方に多く、表の革にはオーストリッチやコードバンなどのブランド革を使用し、中を開けると全く違う別の革(ヌメ革や布生地も多い)という場合です。

これらはオールブランド革にすると価格が高くなりすぎるためというのが大きな意味合いですが、素材コストがかかりすぎて利益が出ないという実情もあります。素材コストを下げるのは安く販売するという目的においては目をつむるわけにはいかず、どこを削るかというと中の部分の革に注目が集まります。

中の革を何かの目的のために例えば、「よく使う部分の補強のために耐久性のある革を採用」など説明があれば納得ですが、単に高級●●革を中に使用しています。などではなぜそうしているのかがわかりません。これを革の質は下げずに、多くの革を仕入れることで革の仕入れ価格を下げたのならそれは企業努力です。

でもそれは水面下のことで消費者にはわかりません。そういった企業は「商品の価値を落とさない」というプライドを持って仕事をしていることが多く、もっと企業努力をしているはずなので、それはモノ作りにも垣間見れることだと思います。

日本製でなくなる。安い工賃で加工賃を下げる

海外の工場の安い工賃で加工賃を下げるというコストダウンは今やどこの企業でも行っていることで、逆に一度はやってみたが品質の問題で原点回帰の日本製に戻している会社もあります。

確かに海外で生産すれば安い工賃で加工賃を下げるということは可能ですが、海外の工場でも品質は確保できる工場もたくさんあります。技術がある会社です。そういった会社でもやはり言葉の問題でやり取りに時間がかかる、希望したものと違うものが納品されたなどうまくいかないケースが生じてきます。

日本製ではそういった問題も少なく、製品に対するチェック体制も厳しい目を持って接しているので、やはり安心と信頼性が高いといえるでしょう。

安価な長財布と高級長財布

このように価格を抑えるにはどこかを削るというのが一般的で、これらは使いやすさに関わってきます。逆に言えば使いやすい長財布とは高級長財布のことで、長く愛用できるように作られてもいます。

長く愛用できるということは数年財布を買い換えなくて言い訳で、車や服などの消耗していくものとは少し違うかもしれません。消耗していかない消耗品、その価値をわかる人が多いので革にこだわるメンズ長財布が人気なのかもしれませんね。