ロウ引き革は磨きこむことで完成する|ブルーム革を楽しむ

ロウ引き革は磨きこむことで完成する|ブルーム革を楽しむ

写真は国産ブルームレザーを使った小銭入れあり薄型長財布

ロウ引き革ってご存知でしょうか?
文字通り、革の表面に蝋(ロウ)を塗りこんだ革のことです。 ブルームといわれる白い粉を塗ったように見えることからロウ引き革と呼ばれています。

では何のためにロウ引きを施しているのか?
一つ目の理由は革の表面を蝋(ロウ)でコーティングすることで、革の表面や繊維を保護することであり、もうひとつの理由は…

使い込んでいくうちに中の蝋(ロウ)が溶け出し本来の表情が出てくる

ということです。これがロウ引き革の最大の利点で、薄雲に覆われた青空のように使い始めのころは表情を隠しています。これが使っていくうちに蝋(ロウ)が溶け出し、隠れていた革本来の色が垣間見えてきます。

少しずつ少しずつ白かった部分が薄くなり、本来の革色に溶けて馴染んでいくのはワックスをかけた車を乾拭きしていくようで、それが自然に楽しむことができるのがこの革の醍醐味です。もちろん本当に乾拭きをしてお手入れをしてもそれは楽しむことはできます。

エイジングを楽しむ「ロウ引き革」売れ筋の革製品

ブルーム(白い粉)革で有名なのはブライドルレザー

ロウ引き革としてもっとも有名なのがイギリスのブライドルレザーで、その歴史は古く1600年ころにあるといわれています。

ブライドルレザーはもともと馬具用に開発された革で、革が頼りなく切れたり破れたりすると落馬の危険性があり、馬具には高度な耐久性と堅牢性が要求されました。その要求に応えるために、ロウをしみ込ませて皮の繊維を引き締め、革のしなやかさを保ちながらもとても丈夫に仕上げた革がブライドルレザーというわけです。

馬具用に開発されたブライドルレザーは、その美しさと丈夫さから、いまでは財布などの革小物に使用され親しまれています。

ブルーム(白い粉)革の特徴はカチッとした大人の男性の雰囲気

フルベジタブル(植物性)のタンニンのみでなめされた革は薬品などを使わないので、革の本来持つ繊維が壊されず頑丈です。

頑丈であるがゆえに硬いのがフルベジタブルタンニンレザー(ヌメ革)の特徴で、それが男性向けのバッグや財布などの革小物にはカチッとした大人の雰囲気として丁度よく親しまれてきました。

その反面で、やわらかく風合いのある革が好きな人もいます。
これは個人の好みで、どちらが良いとは言い切れません。ワインでも力強い重厚な風味が好きな人もいれば、エレガントで滑らかな口当たりの良さが好きな人もいます。ワインと同じように好みはそれぞれで、

要はその革が持つポテンシャルが高いかどうかです。

ワインも革も作り手の思いが結晶されて生まれる物です。当然のこととして技術力が高い作り手は良いものを生み出していきます。作り手にも好みやこだわりがあって、それをどれだけ詰め込むかで品質は反映されていくのです。

通常の倍、2回なめした革が持つ違いとは?

国産/日本製のロウ引き革として近年注目を浴びているのが、フルベジタブルタンニンなめしの工程で2回なめした革です。日本製/国産の牛革を使った姫路の腕利きタンナーが作った「ロロマレザー」の特長、通常の2倍のなめしの工程を行うことで得られるものは…

やわらかく風合いのある革質です。

フルベジタブルタンニンレザー(ヌメ革)の特徴である頑丈な硬さを覆す、このやわらかく風合いのあるヌメ革は、ロウ引きされブルーム(白い粉)加工を施されています。それにより使いはじめからのやわらかさと、使うごとに現れる艶感を手にし、誰にでも扱いやすい革を作り出しました。

三つの顔を持つロウ引きされたブルーム革

ロウ引きされブルーム(白い粉)が塗りこまれた革は、三つの顔を持っています。
使い始めはブルーム(白い粉)がかかった表情で、使い込んでいくうちに本来の革の色合いが顔を出し、ロウが溶け込むことで艶感が増してエイジングを楽しむことができる。

ひとつの革で三度楽しむことができる贅沢な革といえます。
使い込むことで味が出ていき、磨きこむことでこの革は完成していきます。

まとめ

ロウ引きされたブルーム革は男性に人気の革でオイルレザーやプルアップレザー、コードバンなどといったそれぞれに違う製法で加工された革であり、ひとつの革のカテゴリーであるといえます。

違う加工をされたクセのあるチーズを楽しむように、個性豊かな革の特徴を知って気軽に楽しんでいただければと思います。

長い間愛用すれば、艶感が全体を覆いくっきりと味が出ることから、ロウ引きされた革は最高のエイジングをもたらしてくれるでしょう。

ロウ引き革は磨きこむことで完成する|ブルーム革を楽しむ

使うほどツヤが出るブルームレザーBandiera シリーズ