高級な名刺入れに使われる革の質とは?革の良し悪しで見た目も印象も変わる。品質を見極める4つのポイント!

高級な名刺入れに使われる革の質とは?革の良し悪しで見た目も印象も変わる。品質を見極める4つのポイント!

名刺入れは毎日使うものであり、ビジネスの場で自身の顔ともいうべき名刺を入れておくものとして こだわりの強いアイテムです。 名刺入れにも金属製や木製、革製、合皮、布生地など様々な素材を使って、デザインもありとあらゆる形があり工夫を凝らしたものが販売されています。

価格に関しても百円ショップで買えるものから数万円もするような高級品まであり、今回は名刺入れの品質について最高級の名刺入れといわれるものとはどういうものなのか。革の値段ってどういうふうに決まるか?ということについて考えていきます。

彼氏や旦那様へ日頃の労をねぎらうためにも、できるだけ良い名刺入れを贈りたいと思っておられるメンズプレゼントを探しておられる女性の方の参考になればとも思っています。

ハイブランド品を除き多くの革製品の品質を見極めるポイントは主に4つの要素があると考えられます。

1,革の質 2,縫製 3,細部の技法 4,機能性

最高級名刺入れといわれる「1,革の質」とは?

革は本物の動物の皮を使っていて、そのままの状態では時が経つと皮は硬くなり腐敗していきます。 そこでなめしという方法で皮をやわらかく扱いやすいように加工していきます。この工程を経て

皮は革へと変化していきます。

つまり皮は動物の皮のことで、革は人の手によって加工されたものをいいます。革にも主に2種類のなめし方法があり、クロームなめしとタンニンなめしがあります。

クロームなめし

クロームなめしは近代化が進み紳士服やインテリア、車などが普及してきた頃から開発された

革を量産するためにできた加工方法です。

革に限らず量産するためには機械化と生産効率を上げることが必要で、そのために革を早くなめす(やわらかく扱いやすくする)方法を編み出しました。 それがクロームなめしであり、その方法はクロームといわれる薬品を使って革をなめしていくものです。

後に説明しますがタンニンなめしのみだった革の加工方法に時間と労働力を短縮できる量産できる革を作り出したのは画期的といえます。

現在ではクロームなめしの革製品は全体の95%以上を占め、その用途はバッグなどの袋物から財布、名刺入れ、キーケースなどの革小物、靴、インテリア、車のシートやハンドル、グローブやボールなどありとあらゆる私たちの身の回りの生活用品に使われています。

植物タンニンなめし

タンニンなめしの歴史は人類が初めて動物の皮を剥いで身にまとった頃から始まります。どうすれは暖かく身を守ってくれる皮を長く使うことができるのか?

その難題を解決したのが植物の皮を皮に漬け込むことにより皮を長持ちさせ、扱いやすくしたのです。その植物の樹皮から出る主成分がタンニンでそれを取ってタンニンなめしといいます。タンニンなめしは基本的には古代からの製法を保ったままで、クロームなめしと大きく異なる点は

時間が掛かるために生産量も少なく、それゆえに高額

ということになります。 クロームなめしだと化学薬品を使い一日で済む生産をタンニンなめしなら 天然成分を漬け込む自然製法でつくられているために数ヶ月を要します。

タンニンなめしは酵母や菌を使って発酵させて生産するものではありませんが、ウィスキーやワインと同じように長く漬け込むという点では同じといえます。

化学薬品を使ったクロームレザーとの最大の違いは天然の植物成分のみでなめされているために使えば使うほどに味が出て艶感も増していく

エイジング(経年変化)が楽しめることにあります。

クロームレザーは工程の最後に化粧と呼ばれる革の表面に吹きつけ塗装をしているものが多く、新品のときが最高の状態で使っていくうちに劣化していく、服や電化製品などと同じ消耗品ですが、タンニンなめしでなめされたタンニンレザー(ヌメ革)は新品のときが最高の状態でなく、使っていくうちに色や艶感が増していくエイジングレザーになります。

このことから革を作るのに時間が掛かる、エイジング(経年変化)が楽しめることなどの理由によりタンニンレザー(ヌメ革)は最高級革と位置付けされます。

価格の高い最高級名刺入れにはタンニンなめしの革

クロコダイルレザーやトカゲなどのエキゾチックレザーや特殊な加工をされた革以外では、ほとんどの価格の高い最高級名刺入れにはタンニンレザー(ヌメ革)が使われています。

カチッとしてハリのある特性から、男性向けの名刺入れを含めた革小物には特に相性がよく、値段もやや高めではありますが手が届く範囲で、多くの革を必要とするバッグなどの袋物では値段が十万円を超える高級品となります。

最高級名刺入れの代表格コードバン

コードバンはがっしりした体格の農耕馬の臀部(お尻)の革のみを使っているため希少で高級なタンニンなめしの代表格です。 農耕馬の臀部は馬の他の部位や牛革などの他の革と比べて繊維の密度が詰まっていて丈夫なのが特徴です。

革の良し悪しに繊維の詰まり具合がありますが、繊維がびっしりと詰まっているということはそれだけ破れにくく伸びたりもしにくいということです。

最高級ヌメ革といわれる理由は、繊維がびっしりと詰まった農耕馬の臀部(お尻)だけを綺麗に磨き上げ 色付けをしています。 それにより滑らかでしっとりとした革質になり革のダイアモンドと呼ばれるほどに美しい革になります。

革のダイアモンドは希少ということからも揶揄され、残念ながら現在ではそのほとんどが良質な馬革でないものやコードバンに似せた牛革か合成皮革であるものが多いということが懸念材料であります。昔ながらの時間と手間が掛かる作業のため採算が取れず、現在コードバンを作っているタンナー(革の作り手)はほんの数社しかありません。

最高級革の代表格であるコードバンは、革自体が高価であるため名刺入れなどに製品化すると原価が高くなり利益を入れた商品価格を計算すると、かなりの高額で5万円を超えることにも少なくありません。

そこで多くの販売者は名刺入れの表の部分だけコードバンを使い、中の革を別の革にしたり、布生地を使ったりして価格を抑えています。 中の革がコードバンに合うような良い革だと商品として最高級名刺入れといえるのですが、利益重視の良くない革を使用している場合には気をつけなくてはいけません。

一般の方にはほとんどわからない部分ではありますが、コードバンを使った名刺入れや財布にはそういった不安感があるのは事実ではあります。希少であるがために最高級革であるのがコードバンなのです。

イタリア本革や国産の栃木レザーを使用した最高級名刺入れ

コードバンは馬革ですが牛革でも植物性のタンニンなめしでじっくり漬け込んだを革なら繊維が壊れにくく最高級のタンニンレザー(ヌメ革)になります。

それに代表されるのは革の生産が世界的に知られているイタリアの革です。イタリアの革の最大の特性は

美しく艶やかな色合いです。

イタリアの革はヨーロッパのモードの世界で活躍する高級ブランドを得意先にしているタンナー(革の作り手)が多く、その要望に応えるため美しく艶やかな最高級の技術を育みました。

それによりブランド革といわれるブッテーロやミネルバリスシオなども世界的に知られるようになったという訳です。

日本が誇る国産タンニンレザーの銘革である栃木レザーも歴史ではイタリア本革に一日の長がありますが、製品としては負けてはいません。 共通する特性は

繊維がびっしりと詰まっているので、革が滑らかだということです。

滑らかだということは肌がきめ細かいのと同じで染料などで色付けされても綺麗に色が映えるという ことです。 化粧映えする肌は綺麗な素肌が良いというのは人の肌でも革でも同じという訳です。

イタリア本革や国産の栃木レザーと馬革であるコードバンとの革自体の価格の差は馬革の牛革の圧倒的な量の違いであることが要素のひとつでもあります。

皮を剥ぐためだけに動物は人間に育てられるのではなく、一番の目的はいわずと知れた食用です。食用では世界的に見ても牛と馬では圧倒的に量の差があります。

馬革であるコードバンはその面からも希少で、牛革のタンニンレザー(ヌメ革)は革の生地代としても安い価格になっています。 名刺入れなどに商品化されたものでも比較的手に入りやすい価格帯で販売されています。

革の品質においてもそれほど希少でなく安定して生産されているため、多少の良し悪しがあっても高級革であることは間違いありません。

最高級名刺入れについて まとめとつづき

今回は【名刺入れ品質を見極める4つのポイント!】革の質について述べてきましたが、いかがでしたでしょうか。今回だけでは語れない部分を次回の「名刺入れ品質を見極める4つのポイント!最高級名刺入れ縫製について」でお伝えします。

どうぞお楽しみに!  最後までお読みいただきありがとうございました。